はじめに
Windows Server でデータ重複除去(Data Deduplication)を有効にしているボリュームを
Windows Server Backup(以下 WSB)でバックアップしていたところ、不可解なエラーに遭遇しました。
エラー 0x80070070
ディスクに十分な空き領域がありません
バックアップ先には十分な空き容量があり、
iSCSI や VHDX、VSS なども問題なし。
しかし、特定の転送量(約680GB)で必ず停止する。
最終的に原因は「バックアップ方式」にありました。
環境
- Windows Server
- データ重複除去有効ボリューム(D: 約680GB)
- Windows Server Backup
- iSCSI 接続のバックアップディスク(2TB)
- VHDX
発生した現象
フォルダ単位でバックアップを実行した場合:
- 約680GB付近で必ず停止
- エラー 0x80070070
- バックアップ先には十分な空きがある
- VHDXを再作成しても改善しない
一方で、
ボリューム単位バックアップに変更すると:
- 挙動が変化
- 対象サイズが約552GBとして認識
- 正常に進行
原因
ポイントは「重複除去」と「バックアップ方式」の違いです。フォルダ単位バックアップでは、
重複除去によって節約保存されているデータを、いったん実体データに展開してからコピーする。
その結果、見かけの使用容量よりも多くの作業領域が必要になる。
■ フォルダ単位バックアップ
- ファイルレベルバックアップ
- 重複除去チャンクを実体データに展開(Unoptimize)
- 実データとして展開してコピー
- 一時領域を大量消費
- 空き不足エラー発生
■ ボリューム単位バックアップ
- ブロックレベルバックアップ
- 重複除去構造を維持し,実データに展開しない
- 実効サイズのみバックアップ
実際の数値
D: の論理サイズ:680GB
重複除去後の実効サイズ:約552GB
フォルダ指定では「680GB相当の実体データに展開」が発生
ボリューム指定では「552GB相当のブロックコピー」
この差がエラーの原因でした。
重要な仕様
Windows Server Backup の警告文にもあります:
データ重複除去を使用して最適化されたソース ボリュームのファイルは、最適化されていない形式でバックアップされます。

つまり、
重複除去ボリュームに対してフォルダ指定や除外設定を行うと、
実体データに展開される処理が発生し、バックアップ元ボリューム側で想定以上の作業領域を必要とする。
流れとしては
- バックアップ開始時に VSS によりボリューム全体のスナップショットが作成される。内部的には元ボリュームと同等サイズのデータ構造が扱われることになる。
- 重複除去されていたファイルたちは実データに戻される
- バックアップサイズが仮想ドライブよりも大きくなる
- 容量不足というエラーが発生する
これは、フォルダ単位バックアップでは重複除去状態を維持せず、実体データとして読み出す設計になっていることを意味している。


結論
✅ 重複除去が有効なボリュームを Windows Server Backup で運用する場合は,ボリューム単位バックアップを選択することが望ましい。
❌ フォルダ単位バックアップは避ける
これが最も安定する運用方法です。
学び
今回のトラブルで学んだこと:
- 0x80070070 は必ずしもバックアップ先の空き不足ではない
- 重複除去とバックアップ方式の相性を理解することが重要。
- ボリューム単位バックアップはブロックレベルで動作するため,重複除去の内部チャンク構造を維持したまま取得される。これがバックアップ転送量の違いにもなる。実体データへの展開が発生せず余分な作業領域を必要としない。
- フォルダ指定でも内部的にはボリューム全体がVSS対象になる
まとめ
重複除去を利用している環境では、
バックアップ方式の違いが結果を大きく左右する。
同様の症状で悩んでいる方の参考になれば幸いです。
※本現象は iSCSI や VHDX の問題ではなく、重複除去とバックアップ方式の組み合わせによる設計上の挙動である。

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